【バンブー・プリンス (かぐや姫)】


むかしむかし、竹を取ってくらしている、おじいさんがいました。

 ある日、おじいさんが竹やぶに行くと、根元が光っている、ふしぎな竹を見つけました。

「ほほう、これはめずらしい。どれ、切ってみようか。えい! ・・・うん? これは!」

 おじいさんがその竹を切ってみると、なんと中に、小さな男の子がいたのです。
 子どものいないおじいさんとおばあさんは、とてもよろこびました。
 そして、その子を「バンブー・プリンス」またの名を 「マイケル」と名付けて(なんで)、大切に育てたのです。

 マイケルは大きくなるにしたがって、たいそう美しくカッコよくなりました。
 そして年頃になると、

「どうか、マイケルのお嫁さんにしてください」

という、若い娘がたくさんやってきました。
 中でも特に熱心な若い娘が五人いました。
 みんな、美しい娘です。

 でも、マイケルはお嫁さんを貰うつもりはありません。
 そこでマイケルは、困ってしまい、

「では、ボクが言う品物を持ってきて下さった方を、お嫁に貰いましょう」

と言って、世にも珍しいと言われる品物を一人一人に頼みました。

 まず、
 第一の娘には “フック船長の右腕”
 第二の娘には “ミッキーマウスの5本目の指”
 第三の娘には “バンビの背中の模様”
 第四の娘には “ダンボのため息”
 第五の娘には “シンデレラのガラスの靴のかかと”

  五人の娘はそれぞれに大冒険をしましたが、マイケルの望んだ品物を手に入れたものは、一人もいませんでした。
 なんとか五人の娘を追い返したマイケルですが、マイケルのうわさは、とうとう隣の国の姫の耳にも入りました。

「ぜひ、マイケルを婿に欲しい」

 姫はそう願いました。
 おじいさんとおばあさんは、

「すばらしいお嫁さんじゃ。これ以上のお嫁さんはない」

と、大喜びです。

 マイケルは、なんとかことわろうと思いましたが、姫に逆らえば、殺されてしまうかもしれません。
 それ以来、マイケルは毎晩毎晩、悲しそうに月を見上げては泣きながらムーンオークをしていました。
 おじいさんとおばあさんが心配してわけをたずねると、マイケルは泣きながら言いました。

「じつは、僕は月の世界のものです。今まで育てていただきましたが、こんどの満月の夜には、月へ帰らなくてはなりません
 しかもムーンウォークで・・・。 それで練習をしていたのです。」

 それを知った姫は、満月の夜、何千人もの兵士を送って、マイケルの家の周りを守らせました。
 何とかして、マイケルを引きとめようとしたのです。

 けれど、真夜中になって月が高くのぼると、兵士たちはとつぜん、ねむってしまいました。
 マイケルはその間に、一生懸命ムーンウォークをはじめました。

 しかし、色々な女性の訪問で、ろくに練習できなかったマイケルのムーンウォークではなかなか進まず、月に登ることができません。
 兵士が眠りから覚めた時には まだその場で一生懸命ムーンウォークをしているマイケルの姿がありました。

   兵士や姫はそのあまりにも真剣な姿に 同情して その場を立ち去りました。。。

 結局、一晩中がんばっていたマイケルですが、月に帰ることができませんでした。

 そして、その後もたくさんの娘に求愛され続け、相変わらず月へも帰れず嫁を貰うつもりもないマイケルに、
 おじいさんもおばあさんも、たいそう悲しんだと言うことです。

  おしまい
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